研究活動
Research

当研究室では, 世界最先端の情報通信技術を用いて,社会を変革し新たな価値を創造する次世代ネットワークシステムの研究開発を行っています. 真のIoT(Internet of Things, モノのインターネット)システムの実現に必要なワイヤレスネットワーク技術を中心として, スマートフォンやタブレット,車載通信機などのモバイル端末同士をつなぐアドホックネットワークの構成技術, 多種多様なセンサを無線ネットワークでつなぎデータを収集するためのワイヤレスセンサネットワーク技術,ネットワークの基本性能を飛躍的に向上させる革新的理論であるネットワークコーディング理論に注目し, アルゴリズムからサービス,アプリケーションの設計開発まで幅広い研究を行っています.

アドホック
ネットワーク

スマートフォン, スマートウォッチ, スマート家電, 自動車など私達の日常生活のいたるところに無線通信機能を備えた機器が溶け込んでいます.これらの機器を無線通信で相互につなげて形成したネットワークのことを「アドホックネットワーク」といいます.アドホックネットワークを利用すれば,既存の固定インフラ(携帯電話ネットワークなど)に頼ることなく,機器同士の通信が可能となります.例えば,インフラ不在環境(大規模災害直後など)でも,友達のスマホとメッセージ交換や写真・動画のやりとりをすることができるのです.このようなことを実現するためには,自分と友達のスマホ間の情報伝達経路を形成する必要があります.当研究室では,情報伝達経路を形成するための経路制御技術の考案や,その性能評価,実装などに取り組んでいます.他にも,アドホックネットワークのためのセキュリティ保証技術, 自動車同士を無線通信でつなぐ車両間アドホックネットワーク(VANET)構成技術など幅広く研究を行っています.

ネットワーク
コーディング

従来の情報通信ネットワークは,物流モデルという考え方がベースになっています.例えば,ネットワークの合流点(2つのリンクが1つのリンクに集約される部分)では,混雑が発生しやすく,その解消のためには,リンク容量(リンクを道路に見立てると道路幅に相当)を増やすしかないと信じられてきました.この考えを一変させる「ネットワークコーディング理論」と呼ばれる画期的な理論が2000年に発表されました.

 ネットワークコーディング理論は,ネットワークの合流点で情報をそのまま転送するのではなく,受け取った情報を一括して符号化し,符号化した情報を転送することで,従来の物流モデルの限界を飛躍的に超える通信が可能となることを示しました.ネットワークコーディング理論を用いれば,現在の情報通信ネットワークを大容量化・高速化が可能となるだけでなく,セキュリティや信頼性の向上まで可能となります.

 当研究室では,ネットワークコーディングを理論と実験の両面から研究を展開しており,Android端末,iOS端末へのネットワークコーディングの実装なども行っています.

ワイヤレス
センサネットワーク

カメラや人感センサ, ウェアラブルデバイス, ドローンなど多種多様なセンシングデバイスを用いて実世界の様々な事象を観測し, 無線通信によって観測した情報を伝えるセンサネットワークは, IoT, M2M(Machine-to-Machine)を支える基幹ネットワークです.センサネットワークは, 河川水位, 雨量, 気温など環境情報のモニタリングだけでなく, 防犯・防災, 動植物の生態調査まで様々な応用が期待されています. 当研究室では,IoT/M2M時代の基幹技術の一つであるセンサネットワークに関して, 効率的なデータ収集のためのシステム設計からアプリケーション開発まで多様なアプローチで研究しています.